深くゆるめるひとつの方法
以前「初めての方にお配りしています」という記事で
ゆるめてゆるめて・・・
諏訪太極聚友会|初めての方にお配りしています https://taiji-nagano.com/176
軸を拠り所に極めてゆるめて〜
…
※”軸を拠り所に”という話は初級者の頃には少々難しいお話だったりします。
ですのでまた改めて記事にしたいと思います。
と書いていました。
遅くなりましたがその「軸を拠り所に」について少しお話ししようと思います。
拠り所とは?
人は何かの感触を実感しそれを頼りに動作をしています。
例えば歩く時、足裏に地面を実感しその感触を頼りに歩を進めています。ところが歩く時足裏の感触はあって当然のことになっているので普段から意識することなく過ごしています。でもよく体を感じて観察して動いてみると確かに足裏の感触があり、地面についている方の足裏の感触を頼りに反対の足を浮かせ前に出しています。その感触を私は拠り所と表現しています。
拠り所は全ての動きに必要な要素です。普段そのことに気付きにくいでしょうけれど体を深く観察できるようになるとわかってきます。足裏の感触=拠り所なくしては上手く歩くことはできないでしょう。
力を抜きゆるめることも同様に拠り所を実感することで深みに達しやすくなります。
意外と難しい力を抜き深くゆるめるということ
私たちは重力に対抗して立ち歩き活動しているわけですから常に筋肉を使っており力を抜くと立っていられず崩れてしまうということになります。なので力を抜くということはある意味怖いことと体は感じているのでしょう。体を支える為に必要以上の力を使ってしまいなかなか力を抜くことができないのはそういった背景があるからと感じています。
ところが本人の頭では怖さなんて感じていません。二本足で立ち歩き始めてから自分自身で知らず知らずのうちに訓練してきていますから必要以上の力を使っていることに気づかない…いや、力を使っているということさえ気づかない程当たり前のことになっている…だから余計に深くゆるめられないわけです。
なので”力を抜きゆるめる”から更に一歩進んで「より積極的に力を抜き深くゆるめる」には崩れない為の何かを実感し拠り所として使い安心しながら取り組む必要があります。
その何かが軸という拠り所です。
段階が必要
これまで初級者の方で軸を実感している方と出会ったことはあまりありません。なかには何かのトレーニングを通して軸を実感できるようになっている方はいるでしょうけど、そういった経験のない方が実感できないのは当然のことですね。
軸をうっすらとでも実感できるようになってはじめて拠り所を手に入れ深くゆるめることができるようになります。なので初級者の方はまず軸づくりをする段階が必要になります。軸づくりは站樁功と基礎の練功で出来るはずです。現在学んでいる学習方法を改めて見直してみてください。
軸を解っている中級者以上の方は軸を拠り所により積極的に力を抜き、極めてゆるめて…を追い求めてください。
力を抜く、ゆるめるという言葉がつくりだす勘違い
力を抜く、深くゆるめるという言葉だけを聞くと筋肉はだるだるに柔らかくまるで横になった状態と勘違いする方が多いのではないでしょうか。
また初級者の頃は使っていなければ力が抜けていると感じるようですが「より積極的に力を抜く」ということは「力を入れない」とは違います。「より積極的に力を抜く」をすると筋肉は緩み関節間は広がります。ですので腕は長く垂れ、背骨は伸び上がり(人によっては身長が伸び)結果的に筋肉は伸びる方向へと使われます。
その時体は引っ張っている・引っ張られている、また伸び上がっていると感じられ、力の入った収縮状態とは反対ですが同様に”使っている”と感じるでしょう。でもそれでいいのです。
つまりとても簡単な言葉で書いてしまうと太極拳はストレッチで運用するものなのです。
私の伝える”より積極的に力を抜き深くゆるめる”とはこの状態をいいます。
練功方法
ここまで知っていただいたうえで実践していきたいことは拠り所である軸をどうやって手に入れていくか…ということです。
初級者の方には「頭のてっぺんに紐が付いていてそれが天井や屋根、更には空まで伸び頭や首そして背骨を引き上げるように意識して」と伝えています(中級者以上は変わります)。他の動作をしたり時間が経つと忘れてしまう方がほとんどですが、意識がある間は背骨までとはいきませんが首くらいは伸び上がり、積極的に力を抜く状態に近くなっています。
(太極拳用語の「虚領頂頸」をはじめとした基礎姿勢の説明と同じですが、初心者向きに専門用語をあまり使わないようにしています)
その意識を持ったまま練功を進めると首の付け根が緩み始めます。緩んで伸びあがる感触が解るようになり更に練功を進めると両肩が下がり背骨周辺が緩みはじめます。この状態が進んだとき軸がうっすらと解るようになってきます。(この段階になると副産物として身長が伸びることが多々あります)
どんな練功方法が有効かというとこれは間違いなく站樁功でしょう。理由は動作をしていると頭の紐の意識がなくなり緩んでしまうからです。動きがなければ引き上げた感覚を実感し続けることに集中しやすいからです。形は各派でそれぞれと思いますが基礎を抑えていれば問題ないはずです。
他に有効なのは足の踏み替えのないシンプルで反復できる基礎練功です。理由は同じですね。
練功を続け「より積極的に力を抜く」状態からゆるみが進み軸が感じられる段階になったら「ゆるめてゆるめて、軸を拠り所に極めてゆるめて」を実感し実践できるようになってきます。このゆるみを手に入れたいと感じた方は是非トライしてください。でも時間はかかるものですから焦らず粘り強く続けてくださいね。
最後に
こうして文章にしてみると足りない部分あり、でも多くを書くと乱雑になり伝わりにくいと感じこの程度に納めておきます。
これ以上の部分は直接お話なり指導なりさせていただかないと伝わりにくいと思います。しかも指導の際は段階にあわせた情報を伝えないと混乱してしまい理解し手に入れるまでの時間が長くなってしまうと感じています。
なので興味のある方は先ず「諏訪湖で朝活。太極拳」などで一緒の時間を過ごしてみてください。お互いの理解を少しづつ深めた頃にちょうどよい情報を伝えるようになると思います。そしてより深く知り手に入れたい方は教室に通っていただくのが一番の近道と思います。
経験者の方や先輩方がこの文章を読んでくださった際には細かな部分で異論等あるかと思います。ですが初級者向きに情報を絞って書いているので伏せている事柄があることを、そして私の言葉と文章力が拙いことをご察しくださると幸いです。
みなさんの太極拳の愉しみがより広く深く豊かになるよう祈っています。
形が違う、特徴が違う、でも… | 諏訪太極聚友会
2020/6/23 @ 11:53
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